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カーボンニュートラルはなぜ『おかしい』『意味ない』と言われるのか?

カーボンニュートラルはなぜ『おかしい』『意味ない』と言われるのか?

「カーボンニュートラルはおかしいって本当?」「カーボンニュートラルに疑問を感じているけど、具体的に何が問題なの?」そう思う方もいるのではないでしょうか。

実際にカーボンニュートラルには様々な課題と疑問点が存在し、その全貌を理解することが重要です。

この記事では、「カーボンニュートラルはおかしい」と言われる理由や、カーボンニュートラルに関する様々な意見・疑問を詳しく解説していきます。

Contents
  1. カーボンニュートラルとは?
  2. カーボンニュートラルの重要性とSDGsの関係
  3. 日本がカーボンニュートラルに取り組む6つの理由
  4. カーボンニュートラルの矛盾点と課題
  5. カーボンニュートラルが『おかしい』の声
  6. カーボンニュートラルの矛盾の解決方法
  7. カーボンニュートラルへの貢献が期待される革新的な技術
  8. カーボンニュートラルの取り組みが他の環境・社会問題に与える影響
  9. カーボンオフセットとカーボンニュートラルの違い
  10. カーボンニュートラルがおかしいと言われるまとめ

カーボンニュートラルとは?

 

カーボンニュートラルとは、人間の活動によって排出される二酸化炭素(CO2)の量を、植樹や再生可能エネルギーの利用などを通じて吸収・削減し、実質的にゼロにすることを目指す環境保護の取り組みです。

 

これにより、地球温暖化の主要な原因である温室効果ガスの増加を抑制し、気候変動の進行を防ぐことを目指しています。

カーボンニュートラルの実現は、持続可能な社会を築く上で非常に重要とされています。

 

カーボンニュートラルの重要性についての有識者の見解

令和3年8月27日(金)に財務総合政策研究所のセミナーで

講師:高村 ゆかり氏

演台:2050年カーボンニュートラルに向かう世界

で以下の内容について語られていました。

近年、日本は連続して大きな気象災害に見舞われており、特に2018年の西日本豪雨や台風、2019年の台風などが大きな被害をもたらしました。

これらの災害による経済損失は莫大で、損害保険金の支払いも増加しています。

一部の災害は気候変動の影響を受けており、異常気象の頻度や強度が増加しています。IPCCの報告書では、人間活動による気候変動の影響が明確に示されており、気温上昇を抑えるための対策が求められています。

特に「1.5℃特別報告書」では、気温上昇を1.5℃に抑えることの重要性が強調されており、2050年までにカーボンニュートラルを実現する必要があるとされています。

出典:財務省 広報誌『ファイナンス』

 

カーボンニュートラルの重要性とSDGsの関係

 

カーボンニュートラルは、温室効果ガスの排出量を削減し、気候変動を抑制することを目指しており、これはSDGs(持続可能な開発目標)の中の「目標13: 気候変動に具体的な対策を」に直接寄与します。

 

また、再生可能エネルギーの利用促進やエネルギー効率の向上は「目標7: クリーンで手頃なエネルギーをみんなに」にも関連しています。

 

さらに、カーボンニュートラルの取り組みは、森林保護や持続可能な農業の推進など、他の多くのSDGsの目標とも相互に関連しており、全体として持続可能な社会の実現に貢献します。

 

持続可能な開発目標とは?(SDGs)

SDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)は、国連が2015年に採択した、2030年までに達成を目指す17の国際的な目標のことを指します。

 

これらの目標は、地球上のすべての人々がより良い未来を築くために、環境、経済、社会の三つの側面から持続可能な発展を促進することを目的としています。

 

具体的な17の目標には、貧困の撲滅、飢餓の終結、良質な教育の提供、ジェンダー平等の実現、清潔で安全な水の利用、気候変動への対策など、多岐にわたるテーマが含まれています。

 

SDGsは、全ての国々が協力して取り組むべき共通の課題として設定されており、先進国だけでなく発展途上国も含めた全ての国が参加しています。

 

それぞれの国は、自国の状況に合わせて具体的な施策を進めながら、全世界共通の目標達成に貢献しています。

 

SDGsは単なる目標のリストではなく、異なる目標同士が相互に関連しているという特徴もあります。

 

例えば、貧困を減らすことが健康や教育の向上につながり、それが経済成長や不平等の解消に寄与するといった具体的な相互作用があります。

 

要するに、SDGsは全人類が協力して、環境を守りながら経済成長を達成し、社会の公正さを高めるための国際的な行動計画です。

 

カーボンニュートラルとSDGsの違い

項目 カーボンニュートラル SDGs(持続可能な開発目標)
目的 温室効果ガスの排出量を削減し、気候変動を抑制する 17の目標を通じて、地球上のすべての人々の持続可能な開発を実現する
対象 主に温室効果ガスの排出量と吸収量 環境、経済、社会の3つの側面を網羅した広範なテーマ
アプローチ エネルギー効率の向上、再生可能エネルギーの利用促進、森林保護など 貧困の撲滅、健康と福祉の向上、教育の普及、ジェンダー平等の推進など多岐にわたる
時間枠 主に中長期的な視点(例: 2050年までに実現を目指す) 2030年までに達成を目指す17の具体的な目標が設定されている
国際的な枠組み パリ協定などの国際的な気候変動対策の枠組みに基づく 国連によって採択された全世界共通の目標として設定されている
評価・測定 温室効果ガスの排出量と吸収量のバランスを評価 169の具体的なターゲットと232の指標を用いて進捗を測定

日本がカーボンニュートラルに取り組む6つの理由

 

気候変動への対応

地球温暖化による気候変動は、自然災害の頻発や生態系への影響など、世界中で深刻な問題を引き起こしています。

 

日本もまた、台風や豪雨などの自然災害の影響を受けており、これらの影響を軽減するためには、温室効果ガスの排出削減が必要です。

 

国際的な約束の履行

日本は、パリ協定をはじめとする国際的な気候変動対策の枠組みに参加しており、これらの約束を守るためには、2050年までにカーボンニュートラルを達成する必要があります。

 

エネルギーの安全保障

日本はエネルギー資源をほとんど持っていないため、石油やガスなどを輸入に頼っています。再生可能エネルギーへの移行は、エネルギーの安全保障を強化し、エネルギー供給の安定性を向上させることに寄与します。

 

経済成長とイノベーションの促進

カーボンニュートラルへの移行は、新しい技術の開発や新しい産業の創出を促進し、経済成長に寄与する可能性があります。

 

また、環境に優しい製品やサービスへの需要が高まっているため、これらの分野での競争力を高めることが重要です。

 

国民の健康の向上

温室効果ガスの排出削減は、大気汚染の軽減にもつながります。

これにより、国民の健康を守り、医療費の削減にも寄与することが期待されます。

 

国際社会でのリーダーシップ

日本がカーボンニュートラルを達成することで、他の国々に対しても積極的な気候変動対策を促すリーダーシップを発揮することができます。

 

カーボンニュートラルの矛盾点と課題

 

カーボンニュートラルの矛盾点

代替エネルギーの不足

カーボンニュートラルを目指す中で、化石燃料への依存を減らし、再生可能エネルギーへの移行が求められています。

しかし、再生可能エネルギーの導入が進んでいない現状では、化石燃料の利用を完全にやめることは難しいと言えます。

 

特に、米国のようなエネルギー産業が国の経済を支えている国では、化石燃料の利用を減らすことが直接的な経済損失に繋がる可能性があります。

 

二酸化炭素排出の完全な削減

カーボンニュートラルの目標達成には、CO2排出の削減が不可欠です。

 

しかし、化石燃料を利用した経済活動が根強く残っているため、CO2排出を削減しつつ経済活動を維持することは大きな課題となっています。

 

導入コストの高さ

カーボンニュートラルの目標達成には、CO2排出の削減が不可欠です。

 

しかし、化石燃料を利用した経済活動が根強く残っているため、CO2排出を削減しつつ経済活動を維持することは大きな課題となっています。

 

人口増加の影響

カーボンニュートラルの目標達成には、CO2排出の削減が不可欠です。

 

しかし、化石燃料を利用した経済活動が根強く残っているため、CO2排出を削減しつつ経済活動を維持することは大きな課題となっています。

 

バイオマスエネルギーの矛盾

カーボンニュートラル技術の中には、環境への影響が懸念されるものもあります。

 

例えば、バイオマス発電は再生可能エネルギーの一つですが、大規模な森林開発が必要となる場合があり、生態系の破壊を引き起こす可能性があります。

 

温暖化による気象の変化

地球温暖化による気候変動は、異常気象の頻発を引き起こしています。

 

一部の科学者は、地球温暖化が進むことで気象が穏やかになると主張していますが、これには異論も多く、科学的な根拠はまだ得られていません。

 

異常気象と温暖化の関連性についての誤解

地球温暖化と異常気象の関連性については、一般的には温暖化が異常気象を引き起こすと考えられていますが、これには誤解があると言われています。

 

科学的な根拠に基づいた情報提供が必要です。

 

二酸化炭素濃度の増加の影響

カーボンニュートラルの目標達成には、CO2排出の削減が不可欠です。

 

しかし、化石燃料を利用した経済活動が根強く残っているため、CO2排出を削減しつつ経済活動を維持することは大きな課題となっています。

 

カーボンニュートラルが『おかしい』の声

 

おかしいの声:その1

 

おかしいの声:その2

 

おかしいの声:その3

 

おかしいの声:その4

 

その1の疑問は、カーボンニュートラルよりカーボンオフセットの考えたになりますね。

カーボンニュートラルはCO2の排出をなくしていくことであって相殺することは違います。

 

相殺する考え方であるのなら、カーボンオフセットに近いものです。

その2の疑問は、カーボンニュートラルにだけ目を向けて、人体への影響を考慮していない点。

その3は日本語と英語には、そもそもニュアンスが変わってくることから、英語の意味を履き違えてしまっている点

その4はカーボンニュートラルを行う、電力施設を作るために自然を破壊してまでやることではないという意見です。

このように多くの疑問や課題がカーボンニュートラルには残されています。

 

カーボンニュートラルの矛盾の解決方法

 

二酸化炭素排出量の「消費ベース」での計測

二酸化炭素排出量を「消費ベース」で計測することは、製品が生産される国と最終的に消費される国との間のCO2排出量の不均衡を是正するために重要です。

 

この方法では、製品が生産された際に排出されたCO2を、製品が最終的に消費される国の排出量として計上します。これにより、エネルギー使用の実態がより正確に把握できるようになります。

 

しかし、多くの国では「生産ベースCO2排出」を基に二酸化炭素排出量を計測しています。

これは、エネルギー使用量と排出係数を掛け合わせることで計算されます。

 

この方法では製品の生産過程で排出されるCO2が生産国の排出量として計上されるため、製造業が他国に移転すると、生産国のCO2排出量は減少し、製造が移転した国の排出量は増加します。

 

これに対して「消費ベースCO2排出量」は、製品が最終的に消費される国の排出量として計上するため、エネルギー使用の実態をより正確に反映することができます。

 

しかし、この計測方法は精緻なデータが必要であり、統計作成に時間がかかるという課題があります。

 

「CO2排出量実質ゼロ」を目指す技術

二酸化炭素排出量を「消費ベース」で計測することは、製品が生産される国と最終的に消費される国との間のCO2排出量の不均衡を是正し、エネルギー使用の実態をより正確に把握するために重要です。

 

また、「CO2排出量実質ゼロ」を目指す技術の活用は、二酸化炭素排出量を削減し、地球温暖化の進行を抑制するために不可欠です。

 

しかし、二酸化炭素排出量の計測方法には課題があり、精緻なデータの収集と迅速な統計作成が求められています。

 

カーボンニュートラルへの貢献が期待される革新的な技術

 

CCS・CCUS技術

CCS(炭素回収貯蔵)技術は、工場などで発生した二酸化炭素を回収し、地下に貯蔵する方法です。一方、CCUS(炭素回収利用貯蔵)技術は、回収した二酸化炭素を燃料やプラスチック製造などに再利用する方法を指します。

 

これらの技術は、二酸化炭素排出量を削減し、カーボンニュートラルの実現に貢献することが期待されています。

 

DAC技術

DAC(直接空気中の二酸化炭素回収)技術は、大気中の二酸化炭素を直接回収する方法です。

この技術は、限られた土地や水資源を使用し、効率的に二酸化炭素を回収することが可能です。

 

しかし、現在のところ、DAC技術は高いエネルギー消費とコストが課題となっています。

 

水素・アンモニアを用いたエネルギー

水素エネルギーとアンモニア燃料は、二酸化炭素排出量を削減するための方法として注目されています。

水素は燃焼時に水蒸気のみを排出し、アンモニアは炭素を含まないため、二酸化炭素を排出しません。

 

これらのエネルギー源を火力発電所で利用することで、排出量を大幅に減少させることが期待されています。

 

カーボンニュートラルの取り組みが他の環境・社会問題に与える影響

 

気候変動問題の定量化の容易さ

温暖化やその他の問題についても、先に記述したように、必ずしもCO2の排出量が原因であるという因果関係は証明されていません。

 

様々な研究者の意見の中には、地球自体が寒冷期と温暖化の時期があり現在は地球の寒冷化に向かっているとの話もあります。

 

そのため、簡単にCO2が増えたという数値できてしまうことが問題とも言われています。

 

他の問題とのバランスの取り方

『カーボンニュートラルはおかしい』の項目でも上がっていた内容ですが、カーボンニュートラルを実現するために、自然破壊は許されるのか?

 

この疑問の声が上がっていることからも、総合的に見て何が一番大切なのか?

ということが非常に重要になってくることと思われます。

 

統合的アプローチの可能性とその課題

上述のように、総合的に見て判断することが重要にはなりますが、日本のように火力発電を減らしていくことは大切です。

 

確かに原子力発電は、カーボンニュートラルに即した面もありますが、SDGsの求める『持続可能な開発目標』というところからは外れてしまいます。

 

原子力発電の場合は、廃棄となった核燃料の処分を次の世代への負の遺産として残すことになります。

そのため『水素発電』『人工石油』『潮力発電』などの開発が現在進められています。

 

今後、日本の新しい発電方法に期待が高まりますね。

 

カーボンオフセットとカーボンニュートラルの違い

 

カーボンオフセット

カーボンオフセットは、温室効果ガス排出量を削減する努力を行った上で、完全には削減できなかった分を他の方法で補う試みです。

 

これには、他のプロジェクトへの資金提供や自らの排出削減活動が含まれます。

このプロセスは、排出量の計算、削減活動の実施、そして残りの排出量の補填というステップで構成されています。

 

カーボンオフセットの実施

カーボンオフセットの実施には、まず自身の排出量を正確に把握し、可能な限りその量を減らす必要があります。その後、削減できなかった分については、他の環境保護プロジェクトへの投資や活動を通じて補うことが求められます。

 

カーボンニュートラルとの違い

カーボンニュートラルは、排出量と吸収量をプラスマイナスゼロにすることを目指す考え方です。

これに対してカーボンオフセットは、排出量を補正する手段の一つとして位置づけられています。

 

カーボンニュートラルは最終的な目標であり、カーボンオフセットはその達成のための一つの方法と考えることができます。

 

カーボンニュートラルがおかしいと言われるまとめ

今回は、カーボンニュートラルへの疑問の声に焦点を当てて紹介しました。

多くの課題が残されているカーボンニュートラルですが、それでもCO2を削減していくことは重要になります。

今後、世界がどのように残された課題を解決していくかが、楽しみですね。

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